道路レポート 滋賀県道319号竹生島線 前編

所在地 滋賀県長浜市
探索日 2022.02.18
公開日 2025.02.03


2025年の正月期間中、ずっと国立国会図書館デジタルコレクションが長期メンテナンスのため使えなかったので、そのストレス発散のために突如打ち込んだのが、全国の島々にどれだけの都道府県道があるのかを調べ上げることだった。

ご存知の方も多いと思うが、国道のある島というのはかなり限られていて、名前を聞けば誰もが知っているような島々ばかりである。だが、都道府県道がある島となるととても多く、その全貌を把握することは容易ではない。


(↑)これが正月返上で作成した、スーパーマップルデジタル(SMD)ver.24の地図に都道府県道がある離島の位置を林檎アイコンでプロットしたものだ(日本全体を見たい方はこちらからどうぞ)。

道路地図(SMD24)とWikipediaで大雑把に調べただけなので、いくつか路線の抜けがあるかとは思うが、離島こちらの「有人離島一覧」を主な対象とした、本土と架橋されている島も対象である)に所在している都道府県道は、北は礼文島から西は与那国島まで179の島に合計489路線があり、複数の島に跨がる路線の重複分を除外すると448路線であった。最新の「道路統計年報2023」(2022年3月31日現在)によると、全国の都道府県道の総路線数は13338であるから、約3.3%の路線が離島にあるということになる。

これだけの数があれば、もちろんその様態は多彩で、島に限らず全国の都道府県道の中でも最長である新潟県道45号佐渡一周線(167200m)があるかと思えば、おそらく離島県道では最短の沖縄県道188号渡名喜港線(25m)のような路線もある。余談だが、佐渡に所在する新潟県道386号大野川ダム線のように、諸般の事情で実延長0の離島県道もいくつかあった。

そして、そんな変わり種の都道府県道の中でも、唯一無二を三つも有する路線が滋賀県にある。

「滋賀県道319号竹生島線」である。

この路線の“唯一無二” その1は、

日本で唯一、純粋な湖(淡水湖)に浮かぶ島内で完結する県道である。

この路線は、いわずとしれた日本最大の湖・琵琶湖に浮かぶ竹生島(ちくぶしま)に所在している。
日本には湖に浮かぶ島自体あまり多くはないが、県道を持つ島はここだけである。
(島根県の中海に浮かぶ大根島と江島にも県道があるが、こちらは海水が混じる汽水湖で、本土との間で架橋もされている)

この路線の“唯一無二” その2は、

日本で唯一、無人島内で完結する県道である。

竹生島には日本三大弁天に数えられる都久夫須麻(つくぶすま)神社や、西国三十番札所である宝厳寺(ほうごんじ)といった著名な神社仏閣が存在し、神職をはじめとする関係者が務めているが、この島に住民票を有する人はいないので無人島である。有神島というべきか。
(なお、琵琶湖には国内唯一の湖上有人島である沖島が存在するが、沖島に県道はない)

さらに、この路線の“唯一無二” その3として、昔から道路ファンの間で言い継がれていることとして…

全線が屋根に覆われている県道である

……というのがある。
典拠として分かりやすいところでは、この県道のWikipediaの解説ページだ。

滋賀県道319号竹生島線は、滋賀県長浜市早崎の琵琶湖北部に浮かぶ竹生島にある0.1kmの一般県道である。竹生島の港から、日本三大弁天のひとつと言われる宝厳寺参道への歩道であり、全区間が屋根に覆われているという珍しい路線である。

「wikipedeia;滋賀県道319号竹生島線」より

「全区間が屋根に覆われている珍しい県道」の表記がある。加えて、解説文中にある全長0.1kmという短さ全線が参道を兼ねた歩道であることなども、県道として唯一ではないとしても、珍しい特徴であろう。

ただし、この3番目の“唯一無二”については、おそらく正確な内容ではないと思う。
これについては現地レポートでまた。


……といった感じで、唯一無二がたくさんある都道府県道界の超変わり種、一般県道319号竹生島線が、今回のターゲットだ。
年間10万人以上が参拝や行楽に訪れる滋賀県有数の観光地でもある竹生島へ、本邦唯一の“淡水性県道の生態”を見にいこう!

あ、そうだそうだ。この探索の答え合わせのために、滋賀県長浜土木事務所から本県道の道路台帳図面を複写してもらったので、バッチリルートも特定できた。いままでこの県道が気になっていたけどルートに確信が持てなかった人がいたら、ぜひ参考にしていただきたい。そんな人いないか。笑



 琵琶湖に浮かぶ県道を目指す!


2022/2/18 12:22 《現在地》

琵琶湖の東岸に位置する長浜市の中心駅である長浜駅から徒歩10分ほどの至近距離に、竹生島へと渡る琵琶湖汽船の乗り場「長浜港」がある。
片道35分の手頃な船旅の入口だ。



こじんまりとしてはいるが、おかげで暖房がよく効いている待合室兼チケットカウンターで、竹生島往復券大人1枚3400円を購入。
ダイヤは季節で往復8便から2便まで大きく変動があり、今回は冬期の一番便数が少ない時期であるため、このあと12:50出航船が本日行きの最終便である。(2025年現在はダイヤに変更あり)
ちなみに、私が自転車も車も乗せずに船に乗るのはとても稀なことである。今回の道路探索は、最初から最後まで徒歩オンリーだ。



私を乗せた高速船「べんてん」(旅客定員164名)は定刻に出航。 人生初の滋賀県道319号体験へと私を連れ出した。
竹生島が浮かんでいる位置は、巨大な琵琶湖の中では相当に北寄りで、最も近い陸地からは3kmも離れていないのだが、長浜港からは北西に13kmの距離がある。



出航から20分ほどが経過した。
私は船尾のデッキにずっといて、白い航跡を飽かずに眺めていたが、背後の東岸はもう霞むほど遠ざかった。
と同時に……


船の進行方向に大きな島影が! 竹生島だ。
島の背後には起伏に富んだ北岸の山々が随分と近くに見える。
あの山々は本州の脊梁の一部をなすが、琵琶湖と敦賀湾に挟まれてとても華奢である。そのために雪を降らせ足りない重い雪雲が島の上にまでのし掛からんとしていた。平坦な十数キロの航路を隔てただけで、長浜の田園の広がる湖岸とは違う北国の厳しさを宿しているようだった。



待ちきれないとばかりにズームで島を撮影。
民家には見えない大きな屋根をもつ建物の数々が、平地のない島の斜面に山城のように居並ぶ姿は、早くも神域の荘厳さを感じさせた。
一部青々とした竹林が見え、竹生島のなんたるかを主張しているように思えたが、後で調べてみるとこの島の名の由来は、「斎(いつ)くふす島」(心身を清めて神に仕える島)であり、島に鎮座する「都久夫須麻(つくぶすま)神社」と一致している。
日本三大弁天の他の2つは相模国江ノ島と安芸国厳島であるが、後者は名前も同じ由来にあるようだ。



数分後、肉眼で建物一つ一つを観察できるまで近づいた。
中央に見えるのが都久夫須麻神社(国宝)で、左奥が竹生島港だ。
船内に到着間近のアナウンスが響き、船内の乗客達がそわそわと動き出すと、船は防波堤のない港内へ緩やかに滑り込む。
この竹生島港は歴とした地方港湾であり、滋賀県が管理している。いわゆる“港県道”と呼ばれる種類の県道が存在していても違和感がない。
(滋賀県が管理している地方港湾はこの他に大津港、長浜港、彦根港があり、かつてはそれぞれに大津港線、長浜港線、彦根港線という短い“港県道”を有していたが、大津と彦根は他の県道の一部となって消滅、長浜港線だけが残っている。竹生港線という路線は存在したことがないようだ。)



13:15 《現在地》

定刻より5分ほど早く船は港へ着岸し、すぐに下船が始まった。
帰りの長浜港行きの船は14:40にここを出るので、島にいられる時間は80分ほどである。
この時間で、全長0.1kmの県道を踏破しなければならない。


……余裕だな。



竹生島、上陸!

浮桟橋のような船着場に、同乗者の中で最後に降り立って、“境内”の方へと消えていくその背中を見送りながら、初めて訪れる島の姿を観察すれば、まさに神と仏がツインタワーとなってそそり立つが如き圧巻の景観に、息を呑んだ。
ここより低い場所が島内には存在しないという底地から、ほぼあらゆるものを見上げているのである。
石段に、石垣に、鳥居に、数々の建築物に、木々に岩肌、どれ一つを取っても曰くありげな島の主たちが、無言で私を見下ろしていた。
この感覚、青ヶ島への上陸を思い出すな。あっちは神仏というよりは、人工物に圧倒されたんだったけど…。

このある意味で強面揃いと思える島の土地に、私の愛すべき県道は、如何に根付いているのやら。
重んじられていると嬉しいんだが……、ボチボチ会いに行くとしよう。




桟橋正面の短い石段を登って、島のメイン広場に立つ。
広場には、「ようこそ竹生島へ」の看板をはじめ、島内の案内板や島にゆかりがある歌碑、琵琶湖八景に選定されていることを示す大きな碑、国指定の名勝及び史跡であることを示す碑、どなたかが寄進した大きな石灯籠などが方々に並んでおり、まるで観光客へ向けた島の凄さアピール会場だ。
当然、神仏の方からここへ出向いてくるはずもなく、それらに属するものは参道を参じた先に待ち受けているわけである。


(※竹生島の観光客的レビューは、ここまでとなります)

あった!

見覚えのある碑!

私がこの竹生島に県道のあることを知ったきっかけは、ずいぶん昔に『日本の廃道』のnagajisさんのブログでこの“碑”を紹介していたのを見たからだ。それで知った。もう10年以上も前だと思うが、ちゃんと碑は健在だった!!

思わず駆け寄る。



“県道竹生島線起点”

ここに県道竹生島線ありという、半永久の証しである。
材質は花崗岩で、いまでもたまに街角で見る道路元標の標石に似たサイズ感と外観だ。
だが、この標石は道路元標よりも年代が新しく、かつ全国的に設置されたものでもない。
これは、滋賀県オリジナルの道路アイテムだ。

山行がのレポートでこの標石が登場するのは、滋賀県道130号岩室神線の終点以来だと思う。
滋賀県道岩室神線も、この竹生島線も、昭和33(1958)年7月26日の現行道路法下における滋賀県一般県道認定の第一弾で誕生した同期であり、おそらく当初は全ての県道の起点と終点にこのような標石が設置されたと思われるが、整備著しい路線を中心に消失する機会も多かったようで、残っていない路線も少なくない。

出会えて幸せ!



背面には「滋賀県」と彫ってあるが、隣接している別の碑(昭和7年に当時の文部省が設置した「名勝及史蹟竹生島」の碑)の台石が近すぎて読みづらい。
読みづらいといえば、表面の「起点」の文字の「点」の下半分も、土台であるコンクリートに不自然に埋没しているので、本碑の設置位置は県道開設当初より移動している疑いが高いだろう。



側面の片方は無地で、残る一方には「びわ村大字早崎一六六六番地」と彫られていた。
ここにも本碑の歴史を物語る要素がある。
「びわ村」は、昭和31(1956)年に竹生村と大郷村の合併で誕生し、昭和46年に町制施行して「びわ町」に変わっているのだ(さらに平成18年の合併で長浜市の一部となった)。
いいよね〜、こういうの。


……と、いうわけで、



県道319号竹生島線、踏破開始!

噂通り、道路上には屋根が設置されている。
いわゆるアーケード商店街の道路と同じ風体だ。
そして、特に標識などで規制があるわけでは無いが、事実上の歩行者専用道路でもあろう。
この島へは自動車を持ち込む術がないし、おそらく1台も存在しない。自転車は持ち込めるのかも知れないが、走り回れる余地がなさ過ぎる。
私も自然とこの道へ辿り着いているが、実際のところ、選択の余地が全く無いのである。歩道を含めて、船着場から出られる道がこれしかない。シンプルイズシンプル(?)。

全長0.1kmとの事前情報からして、歩き出せば一瞬で終わる県道であることは間違いないが、その辿り着く終点については、起点のように分かりやすい標柱は存在しないらしく、「ここだ!」という確信を持てなかった人も多いと思うので、今回はそれもバッチリ特定したい!



 道路台帳付図を見る その1 〜0.0KP〜


前説で予告したように、今回の探索後に答え合わせのため、この県道を管理している滋賀県長浜土木事務所より、情報公開制度を利用して道路台帳付図(道路台帳に附属する詳細な図面)の複写を得た。(自治体によってはネット上で公開しているところもあるが、滋賀県は今のところ申請によって個別に得るしかないようだ。)

本編の探索の進展に合わせて、要所要所でこの図面と対照することで、世界一正確に県道の位置を紹介しようと思う(笑)。
ではさっそく、「起点」を描いた図面の部分を見てみよう(↓)。


この付図は昭和59(1984)年11月に作成されたものである。以後更新されていないということは、更新するほどの変化が起きていないのだろう。
縮尺は500分の1だが、ルール的には縮尺1000分の1以上とされているので、下限より倍も大縮尺になっている。路線が短いうえ周辺の地物が入り組んでいるので、大縮尺で正確さを期したのであろう。

普段からこういう図面をよく見る人には説明不要だろうが、「距離標」の「0.0K」(ゼロキロポスト)が表示されている地点が「起点」である。
実際の風景と対照すると、上の「踏破開始」と描いた写真上のラインで間違いない。

この図面で、滋賀県オリジナルアイテムである県道の起点を表示する【標石】がどういう扱いになっているかも気になったが、スルーされていた…。
隣にある【こっちの標石】は「□」の物体がある程度には最低限表現されているのにな。隣の郵便ポストも「P」の記号付きで表現されているし。
あと、すぐ隣に「永久標識」が埋設されていたようだが、探していないので気づかなかったぜ。



 コンパーチブルアーケードな県道319号の代表的道路風景


2022/2/18 13:18  《現在地》

県道の起点に立って振り返ると、私をここへ連れてきてくれた船がすぐそこにいた。
「待っててあげるから、いっておいで」。
そんな言葉を貰ったような気持ちになりつつ、いざ、滋賀県道319号、国内唯一の淡水性&無人島内完結県道へ、最初の一歩を踏み出すのであった。



さっそくだが、県道始まって最初のこの風景。
これこそが、道路好きの上陸者なら前述の起点の石標とともに絶対撮影する、本県道の最も象徴的な風景だと思う。

天井の低いアーケード(屋根のある商店街)の両側に、たくさんのベンチが並べられた石タイルの鋪装路。シーズンにはすぐに雑踏で埋まってしまうくらいに狭い。歩行者ファーストなんて言葉が意味をなさない、自動車がそもそも存在しない小さな観光島らしい道の姿である。雑然としつつも、古い観光地特有の落ち着いた佇まいも兼ね備えている。



起点から14mの位置(「km」の誤字じゃないからね今回は。なお距離は道路台帳調べ)に緩やかな右カーブがあり、ここまでお土産物屋などの店舗が並んでいた道路左側が無骨なコンクリート擁壁に置き換わる。しかし路面の様子や、天井にアーケード風の屋根があることは変わらない。ちなみに道路右側の空間はコンクリートで護岸がされた入江の海……じゃなくて湖面で、小型船の舟溜まりになっている。

ところで、本県道の象徴的な存在である“屋根”だが、実は開閉式になっていたってことを、私はいま初めて知った。カーテンのように幌が開閉する仕組みになっているのだ。おそらく、積雪によって壊されないための工夫なのだろう。この日は開いている場所と閉じている場所が半々くらいだった。ちなみに、一般的にアーケードの屋根は道路管理者ではなく隣接する建物の所有者が管理しており、覆道のような道路構造物とは別の存在である。

この辺りに県道の“ヘキサ”でも設置されていたら、道路ファン的にオイシイと思ったが、多少探さないと県道の存在に気づかない今くらいが玄人感があって一番いいのかも。“階段国道”ほど露骨になると、またちょっと違う感じになりそうだしね。あの金属製の青い板が神仏の島にお似合いかという点にも懸念がある。



自動車が存在しない島内で唯一見かけた“くるま”が、路傍に行儀良く立て掛けられた3台の手押し台車と、1ひきの猫である(手っこが黄色い猫)
車といえば、これは全ての離島にある都道府県道を確認したわけではないので断定は出来ないが、県道竹生島線は、「自動車(バイク含む)が存在しない離島で完結する唯一の都道府県道」という“唯一無二”でもある可能性が極めて高いと思う。

私は今回、県道を撮影する便宜を考えて、敢えて人が少なさそうな時期と時間を選んで訪問しているから、いかにも閑散としている風景だが、冒頭でも述べたように、竹生島に年間10万人からの観光客が訪れているとされる。その多くが春〜秋であることは、冬場だけ船の便数が極端に少ないことから窺える。逆に私のような目的の人や神仏の同時接続上限数に不安を感じられる方は、冬場平日の訪問はお勧めである。



13:21 《現在地》

起点から34mの地点で、県道は階段に変化する。

そして従来、この地点が県道の終点であると誤解されるケースが多くあったのだと思う。

ここまでであれば、確かに県道の全線が屋根の下にあった。
だが、実際の県道の終点はまだ先である。前述のようにここは34m地点なので、四捨五入をしても全長0.1kmとはならないであろう。
また、チェンジ後の画像で赤く塗った範囲が、道路台帳から読み取れる、おおよその道路区域だ。

数年前に従来の2万5千分の1地形図に代わる地理院地図が公開されたことで、県道がこの先まで続いていることが道路台帳を見なくても分かるようになった。地理院地図は県道を黄色く塗り分けているのだが、その黄色く塗られた道が、階段の先へ続いているのである。市販の道路地図については、縮尺の都合もあって、この県道自体を描いていないものが多く(SMD24もご覧の有様)、グーグルマップも県道の表記はみられない。


それでは県道探索第2ステージ、“祈りの階段”へ!



っとその前に、拝観料頂戴します。

実は乗船券を購入する時点から【告知】されていたのであるが、この先の境内へ進む(=拝観)には、拝観料大人500円小学生300円が必要である。

旅人であれば郷に入っては郷に従うが鉄則で、支払うことに是非などない。
ないが、私のコンクリート色の“道路脳”は、果たしてこの県道は、道路は無料が原則とする道路法的にどういう扱いなのかということが、地味に気になった。

道路法と有料道路のアクロバティックな関係性については拙書『日本の道路122万キロ大研究』を読んでもらいたいが、道路法が定める道路には道路無料公開の原則と呼ばれるものがあり、その例外を厳密に規定している。具体的には、第25条に定めがある橋や渡船施設、そして別途「道路整備特別措置法」によって制度化されたいわゆる一般有料道路や高速道路の類である。これは凄く大雑把な説明だが、道路法の道路が通行人から料金を徴収するためにはとても厳格なルールがあって、拝観料という名目で通行人全員から料金を徴収する県道というのは、違和感がある。

あるいは、道路運送法が定める一般自動車道のような有料道路制度もあるが、文字通り自動車専用であるし、そもそも県道たり得ない。他にも林道や港湾道路の有料制度もあるが、これらも道路法外だ。いわゆる私道についても料金の徴収は認められるが、県道たり得ない。
どうなってるんだろうね、実際のところ。

普通に考えて、この先は社寺の私有地であるから、拝観が有料なのだ。それは珍しいことではない。
そして、おそらくだが、この先は県道の敷地についても、所有者は社寺のままになっていて、道路管理者は貸借などの方法で道路管理権のみを獲得しているのだと思われる。この先も県道として区域の決定や供用が行われている以上、もし道路用地が県有地であるならば、路外へ出ないことを徹底する利用者からは、拝観料として料金を徴収できないと思われる。

富士山の登山道なんかも多くは県道だけど、登山者からいろいろな名目で料金を徴収しているよね。あれも道路法の道路である県道の通行料ではないはずだけど、どうなっているのか気になっていたりする。調べてみたことはない。

……何度もいうが、これは私の青臭い思考実験であり、料金に対する疑義ではないので、お間違え無いように。

道路無料公開の原則は
「道路整備に必要なお金は税金でまかなうべきであり、利用者に負担を求めるべきではない」ってのが趣旨です。あくまでも道路の整備・維持に必要なお金の話をしているわけで、それ以外の目的での料金徴収まで否定しているわけじゃない。
富士山の入山料はトイレや山小屋の維持に使うものですし、竹生島の拝観料も神社の施設の維持に使うもの。
道路整備に使うものじゃないから道路法の条文に縛られない。逆に言えば、入山料や拝観料を使って道路を整備しちゃいけないってことでしょうね。

読者様コメントno.56045より

上記のコメントが、私の疑問への回答として、とても納得感のあるものだった。コメントありがとうございました! 納得しました。




ニッコリ払いで、第2ステージ!



 道路台帳付図を見る その2 〜0.0KP → 34m〜


今回の区間の道路台帳付図を見てみよう。
またしても図面の読み方に関わる話だが、ピンク色の枠のところにある記号は、直前の距離標からの距離である。この例では、0.0KP(=起点)から14m地点ということになる。
さらに、橙色の枠は、この14m地点の幅員構成である。上段の4.6は認定幅員、下段の3.1は有効幅員である。いずれも単位はメートル。認定幅員は道路用地全体の幅で、道路管理者が管理する沿道の法面なども含まれる、有効幅員がいわゆる路面であり、図で赤く着色した範囲も有効幅員である。

こんな感じで、道路台帳付図さえあれば、道路の内と外が明確に区別されるのである。
本編では、34m地点で徴集される拝観料の仕組みについて想像を巡らせているが、台帳図面上はこのことに関わる特段の注記はなかった。






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