道路レポート 新潟県道246号西飛山能生線 飛山ダム区間 第3回

所在地 新潟県糸魚川市
探索日 2019.6.26
公開日 2019.7.24

PREMIUM Pref Road.


2019/6/26 16:56 《現在地》

西飛山集落を自転車で出発してから65分が経過した現在、出発地点よりも約300m高い標高558mの地点にいた。
地理院地図はここに、「写真測量による標高点」を置き、上記の標高を記している。

出発からこれまでに通った道は県道246号西飛山能生線のみで、5km前進した。1.4km手前からは、新潟県の「全面通行止め」規制区間を走行中である。
そして路線の起点までは、残すところあと2.2kmほど。


この道を初めて通行し、ここで足を止めない者はない。
そう断言したくなるほどに、ここは眺めが良かった。現在地は能生川の谷が屈折する鈍角な尾根で、ここに来て今までは見えなかった源流部を一望にすることが出来た。

この風景の変化と、現われた展望は、本当に劇的だった。
わが国に、これより北にこれより高い山がないという火打山の起伏に富んだ北面が、まさしく一望のもとであった。
なにより、この雄大無比な“車窓”を眺める人の少なさを思うことは、私にオブローダーとしての恍惚とした優越感を与えてくれた。

そんな一大美景に、私にとって点睛(てんせい)と思えるような物が加えられていた。
それは、この景色に興奮を覚えた真の理由であった。
未開発のままにある、恐ろしく広大な火打山北面の原始境に、ただ一つ人工物があった。
それは県道が目指すダムだった。

源流谷の脅威を一身に背負う孤高の姿に、私は一瞬で心を奪われ……、惚れてしまった。

一人の“飛山ダムマニア”が誕生した瞬間だった!



興奮を新たに、前身を再開。
依然として道はほとんど平坦で、自転車は時速20kmという、山道とは思えない快速で進むことが出来た。舗装も綺麗で走りやすい…………のだが、

“展望地”から100mほど進んだところで、前方の道の見え方に違和感を持った。
どう見ても不自然な勾配の付き方をしている。
思い出したのは、通行止め区間に入ってすぐのところで越えた【路上の段差】だったが…。




16:59 《現在地》

やっぱり…。

ここも道路全体が陥没したようになっており、道路ごと地山が滑動したことを物語っていた。
しかも、前の凹みよりもかなり深い。たぶん1mは落差が生じている。断面部の舗装が激しくひび割れていたが、それでも辛うじて路面の連続性は保たれていた。



通常、道路の陥没は、路上に一対の段差を出現させることになり、範囲を知ることが出来る。
だが、今のところまだ段差は一つしか出て来ていない。
このことを素直に考えれば、未だに私は陥没区間内にいるのではないかということになるのだが、さすがに規模が大きすぎるようにも思う。
なにせ、先の段差を過ぎてから、既に100mは水平路を進んでいるのだから。

だが、ここが依然として陥没した領域内ではないかという疑念は払拭できなかった。
なぜなら、周囲の路面には、これまで見られなかったくらい多くの亀裂があったのである。
一見すると原因のよく分からない不気味な光景であるが、これらの大量の亀裂は、道路が地山と一緒に滑動した際に生じたものではないかということが疑われたのだ。

なお、平成16(2004)年に発生した新潟県中越地震では、糸魚川市も震度4を記録しており、この道も影響を受けた可能性がある。なお、通行止め事態は平成12(2000)年から継続しており、地震の影響によるものではない。



17:00 《現在地》

やっぱり落ちていた!

先の「ダウン」の段差から、実に130mほど進んだ小さな尾根を回り込む辺りに、今度は「アップ」の段差が待ち受けているのを見つけてしまった。やはり1mくらいの落差が生じていた。

この「ダウン」と「アップ」を陥没の両端と考えると、滑動斜面の全幅は130mにも及ぶことになる!




つまり、右の画像で示した範囲が、ごっそり滑っているという可能性が……。
外見的に派手ではないが、道が時間を掛けて徐々に滑り落ちていることを想像すると、やはり恐ろしいものがある。

土砂災害の専門家に意見を伺いたいが、このような規模のものは、よくあることなのだろうか。
地形図を見ると、辺りは能生川の底から300mほど上方まで綺麗に弓なりの等高線が連なっている。これは過去の大規模な地すべり地形のように見えるのだ(あくまで素人意見)。
また、道の周りにほとんど高木が育っていないのは頻発する雪崩のせいだろうと思うが、いずれにしても、道路が無防備に横断するには不向きな地形と思われる。

ここまで広い範囲の道路が陥没を続けながら、簡単な応急処置程度で通行を維持できているのはラッキーだったのだろうが、本格的復旧による一般供用の再開には、まず念入りかつ継続的な観測によって、地山の滑動が完全に停止していることが確認されねばならないはずだ。
しかし、そんな観測がここで行われているのかどうかすら怪しいと思うのは、私だけではあるまい……。



今なお静かに谷底へ落ち続けているのかも知れない不気味な区間を通り抜けて進むと、
再び路面状況は平穏さを取り戻し、私は風を切りながら、存分に絶景を独り占めた。

対岸の谷底近くの斜面に、大きな雪渓の名残である雪洞を見た。
辺りの緑の鮮やかさが恐ろしかった。この道から見えるあらゆるものが無垢だった。
誰一人踏んだことがない土地が、ふんだんにありそうな気がしたのである。



17:01 この写真の範囲内には、道が本当に少ないことが印象的だった。

ほとんど、「この道しかない!」と言っていいくらいだ。
強いていえば、火打山の山頂には、裏側から上ってくる登山道があるくらいで、
稜線のこちら側、つまり能生谷側には、登山道を含めて道らしい道は全くないはずだ。
まさにこの道、PREMIUM.

地図で見ただけで、ここまで寂しい行き止まりの風景を想像する人は少ないと思う。
いかにも登山基地として有望そうな位置に、観光向きになりそうなダムという存在があり、
そこまで県道が通じているのにもかかわらず……、ダムの奥へ行く道は全くない。
完全なる行き止まり。このような立地は、少し珍しい気がする。

まして、行き止まりの先にあるのは、登山家が興味を持たないような山域ではないのに。
地方為政者も、登山家も、ここから道をもっと延ばしたいとは、考えなかったのか。
あるいは、それを実行に移せない理由が、何かあったというのか。



17:03 《現在地》

うおっ?!

超絶順調に進んでいたのだが、あるカーブを高速で回ろうとした次の瞬間、唐突に現われた一基のA型バリケードに行く手を阻まれた! 急ブレーキ&ストップ!

バリケードを境に道が急に狭くなっているように見えるが、実態は少しだけ違う。
これは、一個のバリケードで完全に封鎖してしまえるよう、わざと道幅の両側に土嚢袋を積み、さらにバリケード両側に鉄柱を立てるまでして、本来の道幅を狭めているのである。
特に鉄柱はアスファルトの地面を壊して突き刺さされていて、「封鎖したい」という気持ちの本気度が伝わってくるようだった。
正直、ただごとではない感じがした。

だいぶ前から通行止め区間に入っており、あとは普通にダムまで関係者が車で行ける道が続いていると思っていたから、ここに追加の封鎖が現われるというのは、予想外だった。

驚いて現在地を確認すると、近ごろの順調な進行ぶりの成果は偉大であって、なんとダムまで残り1.3kmへ迫っていた。
最後の500mはつづら折りでダムへ下る道なので、このような水平路(トラバース)は、あと800mくらい残っているはずだった。
そんな中途半端と思える位置で、唐突に現われたバリケードは、いったい何を意味しているのだろう。

先の見えない位置にあるバリケードを前に、強い不気味さを感じている私がいた。




だがもちろん、突破する。

自転車ごとバリケードを跨ぐのも面倒くさいと、ボロくなって低まった脇の土嚢を乗り越えた。
このとき、地面に転がされた哀れなデリニエータが1本、目に入った。
「新潟県」の文字がペイントされた、ここが県道であった(る)ことを物語るデリニエータ。
何もこんな場所で1本目を見つけることもないのにとは思ったが、一応嬉しい発見だ。

そして特に労することなく、本日二度目の関門突破と相成った。
さらなる深淵へ、足を入れる。




振り返るバリケード前の道は、もともと待避所だったのか少し広かったようだが、そこに無数のタイヤ痕が残っていた。

だが、その全てがUターンの痕で、バリケードのこちら側へ入り込んでいるものは、一つも見られなかった。

つまり、これって――


あ(察し)


――というやつなのでは……。




17:04

バリケードイン直後の風景。

一見、路面状況には特段の変化はないように見える。強いて言えば、タイヤ痕がないことが違い。
バリケードのために狭められた道幅は快復したし、あまり古びていない舗装や白線も健在だった。

写真が急に薄暗くなったと感じるかもしれないが、これは現地の私の感想も同じだった。
しばらく明るい斜面にいたが、尾根を回り込んで小さな谷へ入ったために、日が遠のいた。
すでに17時を回っているのでやむを得ないが、快調さに忘れかけていた時刻を思い出し、焦りも思い出した。

だが、この場面に言い知れぬ不穏さを覚えたのは、上記の薄暗さだけが原因ではなかった。

現に、道の先行きが……



(不穏な眺めだ……)

(しかし、まだ道がよく見えないので、なんとか無事であることを期待しているし、
そう簡単に現代の道路は潰滅しないことも期待する)




少し前進すると、奥に見える不穏な部分と、足元にある道の繋がりが、見えてきた。

視線で道の先を追いかけると、緑濃い小谷の奥へと突き当たる。

あそこに橋か暗渠を架け、谷の向かい側の斜面へ続いているのに違いなかった。


問題は、谷を渡る部分だが……。↓↓↓




悪寒的中。

無事じゃないっぽい……。





静から動へ 県道の豹変


2019/6/26 17:05 《現在地》

豹変。 この言葉が脳内を駆け巡った。

これを豹変と言わずになんと言う。
今回の探索、スタート時刻の遅さが最大の不安材料だったが、いざ通行止め区間に入ってみれば、独り占めするのが申し訳なく思えるくらいの快走路が待っていた。それゆえ、早々に起点を極め、探索は完了するものと思っていたのだが……。

残り1.3km地点で唐突に現われた、バリケード。
それがきっかけだった。そこからの“転落劇”は、落としたガラスが粉砕するような急激さを見せた。
対岸に強烈な道路崩落現場を見せつけられながら、そこを目指して進む、心やすからぬ時間が始まった。



問題の崩落地点は、見え始めた時点でも残り200mはない位置だと思われたが、その禍々しい姿は、近づくにつれて一旦見えなくなった。
その代わりに目を引いたのは、山側の法面だ。
素掘りの荒々しい岩場が現われた。これまでの区間では見られなかった光景だった。

しかもこの岩場、印象的な特徴を持っていた。
硬い部分と柔らかな部分がもの凄く密に積層された、まるでバームクーヘンのような地層の模様を見せていたのである。
これが、道路を建設する際に切り開かれたのか、もともとからあった露頭であるかは判断できなかったが、地層好きの人なら見に来たいと思うのではなかろうか。
おそらく太古の海底で堆積したのであろうが、なぜこんなに密に硬軟が入り交じっているのか、不思議である。




17:06 《現在地》

谷の奥へ差し掛かると、その法面が凄まじく高くなった!

ここまで来ると、明らかに人為的な法面ではないと分かる。露頭の下に道を通したのだ。
しかし、ここは見るからに落石が頻発しそうなのな状況で、ここに道を通すことに、普通なら、躊躇いを覚えないだろうか。
もし避けられないとしても、法面の保護くらいは行われるべきだと思うが、なんと! 全く手つかずだった!

林道ではよく見る無普請だが、これで県道というのは、やはりいただけない。
一応舗装はされているわけで、県道としての走行性には意を払ったのだと思うが、この崖下道は、覚悟なき利用者に運否天賦の命懸けを強いる存在である。

“険道”マニアは喜びそうだが、このご時世、仮に目立った崩壊や事故が起きていないとしても、事故予防と安全対策の観点から、一般車の通行が禁止される十分な原因になりそうだ。
しかも、現にこの岩場はときおり崩れるようで、舗装された路上に、ポロポロと小石が落ちていた。




ぉおっ?!

岩場の下で、唐突に舗装が途絶えた?!

おいおいおい! これは良くない兆候だぞ!!

いや、既に良くない兆候どころか、【死の宣告】さえ受けていた身ではあったが…

舗装は、この県道にとって“最後の砦”であったはず!


それが……、問題の崩壊地の直前で、途絶えたというのは……

もう危機としか思えない!



唐突に終わりを迎えた舗装……。

どうやらその先(こちら側)も、比較的最近に重機か何かで路面を均した気配があったが、

ただ未舗装になりましたというだけでは、終わらなかった……。



“問題の崩壊地点”が、もうすぐ目の前に迫っていた!!

まず分かったのは、崩壊地がかなり急峻な地形で、迂回によらない正面突破はかなり難しいだろうということ。
それと、崩壊地の直前にコンクリート製の小さな橋が架かっていて、無名の谷を渡っているのだが、
その橋も崩壊に巻き込まれかけており、とても無事ではないようだということも分かった。
さらに、この崩壊地を乗り越えたとしても、その先の路盤は猛烈な藪に包まれているだろうことも、分かった。

……こんな悪い情報ばかり、分かってしまった!



酷い有様だ……。

一体、どんな災害に襲われたんだ?
単純に道路の一部が崩れ落ちただけには、どうにも見えなかった。

奥に見える崩壊地には、大量の岩の瓦礫に混じって、橋桁か橋台か、何か大きなコンクリートの残骸が見えた。
そこに架かっていた橋を巻き込んで落としてしまったのだろうか?

また、手前に架かっている橋にしても、橋台にしては大仰すぎるように見える巨大なコンクリートの躯体が上から下まで盛大に割れ、その谷側の半身が大きく傾いている惨状を呈していた。

なぜ現状の橋桁の幅より遙かに谷側にまでこの構造物が張り出しているのかは不明だが(橋桁の拡幅が行われていた?)、これほど巨大で頑丈そうな構造物を真っ二つに割るほどの破壊が、外的な要因でなされたことは間違いない。



破壊されたコンクリートの構造物は、異常に傾斜し、完全にオーバーハングしてしまっている。
最初は巨大な四角柱状に見えたが、よく見ると奥行きもかなりある。
となるとこれは橋台ではなく、路肩を抑える巨大な重力式擁壁だった可能性が高まる。
だが、奥へ行くほど無残に破壊され、あるべき路面を完全に失っている。

もっと間近に寄って観察すれば、この構造物の本来の形状や目的を明らかにすることができるかも知れないが、時間的猶予の乏しさや、時期的な藪の濃さといった理由以前に、単純に地形的な問題から、近接及び多方位の観察は困難である。
現在も崩壊した部分を沢の水が流れ落ちており、崩壊地周辺はとても不安定だ。

ただ向こう側へ行くだけでもリスキーなのに、それ以上の行動は難しい。
この場面の現状については、シンプルに次の一言で表わすのが、一番分かりやすかろう。
ここにあった道は、滅茶苦茶に壊されていた。



ここにどんな道があったかはさておき、先へ進む手筈を考えねばならない。

一見して路面の高さでの正面突破はリスキーだと分かったが、崩壊した灰色の斜面を完全に高巻きすることも、猛烈な藪のために容易ではなさそうだった。
だが、よくよく観察すると、画像に描いた一筋の“突破ルート”が見えてきた。

しかもこのルート、全くの偶然に「通れる」状況になっているわけではなさそうだった。
明らかに人手が加わっているように見えた。単なる踏み跡を越えた、もっと大規模な手入れの気配を感じたのだ。

やはり、この後に及んでもまだ往来は完全に途絶えていないらしい!
なにせ、この先にはダムがある。この道でしか近づくことができないダムが!
遊びではなく、仕事のためにここを越えねばならない人が、どこかにいるはずだ。

私は、彼らの真摯な通行のおこぼれに預ることにした。




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少しだけ大袈裟な表現を許してほしいが、このロケーションは、

この世の終わり

を連想させるほどに、終末的だった。


バリケード、巨大な岩場、未舗装化、欄干すらないこの橋、そして崩壊地、向こうに見える激藪廃道……。

この一連の経過は、一つの道の転落としてあまりにも急激で、ほとんど心の準備を許さなかった。

ゆえに、越えて進むことを諦めさせる力も強かったが、我が県道の起点を極める試みは、まだ折れない。

【既に見たゴール】は、この先に確実にある。 折れるものか!



17:09 突入開始!

私の目には、人為的に切り開かれた突破ルートに見えた部分を歩行しているが、実態はご覧の通り。荒れ果てている。

それでも、やはり見立ては間違っていなかった。
トラロープがルートに沿ってセッティングされていた形跡があったのだ。
ロープはボロボロで、こんなものに頼るくらいならば使わない方がマシ状態だったが、間違いなくここは突破ルートだ。

なお、私はここを自転車同伴で通過しようとしていた。
この先の状況次第では拘りなく乗り捨てるつもりだったが、難所がこの一箇所だけならば、まだ自転車が有利に活躍する可能性があると思ったからだ。
(車道だから自転車を使いたいというポリシーに傾けるほど、今回は時間の猶予がなかった。ましてこの状況の悪化ぶりだ…)




見よ! これが廃道だ!

10分前は、まさかこんなことになっているとは思わなかったなぁ…。(遠い目)
この豹変ぶりこそが、今回の探索での一番の印象になるかもしれない。

終末を越えてカオスへ近づいた、そのカオス側から振り返った終末の道は、本当に「馬鹿じゃないの」と思うようなところを通っていた。
最後が橋で終わっているのも、先細り感を強めているポイントだ。

向こう側の巨大な岩場ではなく、この草付きの斜面が崩れるのは、もしかしたら関係者にとって予想外だったかも知れないが、いずれにしても先ほどまでの高原然とした姿からは全く想像できない危ういところを、県道は潜り抜けようとしていた。まあ、たぶん無茶だった。

しかしこうなると、舗装がすぐそこ(写真中央辺りまで)で途絶えていた理由を深読みしたくなる。
あそこまで舗装したところで、ちょうどこの致命的な崩壊が起き、工事中止と通行止めが同時に行われたのかもしれない。

そもそも、平成12(2000)年に始まったスキー場分岐地点からの長期間にわたる通行止めは、何を直接の原因として行われたのかが不明なのだが、この崩壊が関係しているのだろうか。
或いは、それ以前から【先ほどのバリケード】のこちら側は、封鎖されていたのだろうか。
果たして、一瞬でも起点のダムまで一般車両が通れた時期が存在したのか、大いに気になるところだ。




これは、道を破壊し尽くした悪事の主、無名の沢の上流方向の眺めだ。

ほんの50mほど先に、大きな滝が横向きに落ちているのが見えていたが、
危険を冒してまで正面から撮影しようとは思わなかった。あしからず。
しかし、滝の音が周りの岩壁に反響しており、こいつの存在が、
辺りに一層の不穏感を演出していたのは間違いない。気持ち悪いんだよ!



17:11 《現在地》

あれ?

嘘みたいに、広いぞ、道が。

後ろを振り返ると、間違いなく今越えたキツい崩壊地があるのに、

その先にあった道は、かくも広かった。


だが、これは間違いなく迂回路の続きだ。

本来の県道は、このすぐ下で激藪に埋もれているはずである。