隧道レポート 新潟県道50号小出奥只見線<奥只見シルバーライン>13号湯ノ沢隧道の横坑捜索

所在地 新潟県魚沼市
探索日 2025.09.23
公開日 2026.07.15

 今も一部の地図に描かれ続けるトンネル内分岐の謎


《周辺地図(マピオン)》

私が初めて奥只見シルバーラインを探索したのは、平成18(2006)年8月のことであった。→レポート

そして今回紹介するのは、あの最初の探索から19年越しという長い時間を空けて、“ある解明”を目指した小探索だ。

実をいうと、最初の探索をした頃から、ずっとこのことは気になっていた。


(↑)それが何かといえば、私が愛用している昭文社の電子地図『スーパーマップルデジタル』シリーズに、なぜかずっと描かれ続けている、第13号湯ノ沢隧道内部のトンネル内分岐のことである。

上に掲載したのは2025年発売の『スーパーマップルデジタル(SMD) Ver.26』の画像であるが、このバージョンにもやはり湯ノ沢隧道内部から分岐する支線のような短い隧道が描かれていた。
その隧道は湯の沢という渓流の畔で地上に出て、そこからは一本道で延々と山肌を縫うように3.2kmほど南進して国道352号まで通じていた。この全線が1車線の車道のように描かれていた。実際、等高線をなぞる線形は、車道っぽい。

このシルバーラインと国道352号を結ぶ一連の道は、SMDにおいて、2000年に発売されたVer.1からずっと同じ姿で描かれ続けている。
私は基本的にSMDシリーズの最新版を2年毎に購入しているのであるが、私が所有しているバージョンでこれが描かれなかったことは一度もない。
最新版に描かれているのなら、現役のトンネル内分岐だと思うだろう。

だが、2006年の探索時に湯ノ沢隧道を通行した際は、それらしい分岐を見つけることが出来なかった。
だからレポート内でも言及はしていなかったし、意識はしたが見つからなかったということも敢えて書かなかった。後日改めて調べようと思ったからだった。

このトンネル内分岐を探したのは、その一度きりではなかった。
レポートは2006年だけだが、2012年11月にもシルバーラインを自分の車で走っている。
その時も運転席から意識を向けたが、やはり見つからなかった。

それで私の中では、相当に実在が疑わしい“謎のトンネル内分岐”ということになっていった。



実在の疑わしさを後押しするように、地理院地図にこの横坑は描かれていない。

その前身となった2.5万分の1地形図に遡っても、平成18(2006)年版や、前の平成7(1995)年版、そのどちらにも描かれていなかった。

……となるとこれはいよいよ、SMDシリーズ固有の誤表記だろうかという疑いが頭を過るが……



昭和57(1982)年版まで遡ると、このトンネル内分岐がしっかりと描かれていた!

国道352号まで通じているその姿は、最新のSMDに描かれ続けている道と瓜二つ。
これがSMDの表記の典拠となった道であることは間違いなさそう。
SMDは、どういうわけか、地形図が30年も前の平成7(1995)年版で削除したトンネル内分岐を、未だ描き続けていた。

だが、地形図とSMDの表記には微妙な違いもあった。
それは、“★印”の地点から横坑の坑口へ通じる道の有無だ。
SMDにはこの部分の道が描かれていないが、昭和57年地形図にはここに道が描かれていたのである。

そして私にはこの道に見覚えがあった。



これは2006年のレポート第4回のスクリーンショットである。

赤線の部分とその隣の写真に注目。



2006年当時、13号湯ノ沢隧道の西口にあるスノーシェッドから外へ出ると、このような鮮明な道形が見えていたのである。

草藪が繁っていたが、その気になれば自転車でも突撃出来そうな道であった。

あの道が、問題の横坑に繋がっていたらしい。

しかもそんなに遠くはない。せいぜい500m内外であろう。


これは行くしかない!



と、現地探索を紹介する前に一つ種明かしを。

昭和57年以前の地形図や、SMDシリーズに描かれている、シルバーラインと国道352号を結ぶ道の正体は、仮設工事用道路である。
昭和29年から32年にかけて建設された奥只見ダムの工事専用道路が、現在の県道50号こと奥只見シルバーラインの前身であるが、この工事の初期段階で、人跡未踏の工事現場へ人員や資材の搬入を行うため、沢山の仮設工事用道路が建設された。
これらの仮設工事用道路はごく短期間で役目を終えて放棄されたとみられるが、その跡がどういうわけか、地形図では昭和57年版まで、SMDでは最新版まで描かれ続けているのである。

2024年に探索した新潟県道576号(→レポート)は、この仮設工事用道路の一本がどういうわけか実態のない県道として認定されている不思議な道であった。



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