道路レポート 保台清澄連絡道路  第3回

公開日 2008. 4.26
探索日 2008. 4. 2

隧道続々出現!

 先細りの不安 


2008/4/2 12:57 《現在地》

 アプローチに思いがけぬ苦戦と疲労を強いられたが、運にも助けられて、保台(ぼだい)の谷と清澄(きよすみ)の稜線とを結ぶ「連絡道路」を私は見つけ出した。
そして、突破を目指してチャリを伴い進入した。
やがて、古地図の記載から期待された4本の隧道のうち、50mほどの1本と遭遇。これを「1号隧道」としたところである。

 舞台は深い谷底から、岩を咬む山腹へと急展開しつつある。
私の房総に対するイメージが決定的に塗り替えられる場面も、徐々に迫っていた。





 うおっ!

 2本目来た。



 今度はずいぶん短い。

前回紹介した堀割が堀割だったのだから(?)、ここも堀割で良さそうな規模だが、なぜかそうはならなかったようだ。
またも五角形の断面だが、洞床から頂点までの高さの倍くらいしか土被りが無い。

 祝! 無事に貫通していてくれた。
これで、第2関門突破である。

 本当に4本の隧道が全て貫通してくれていないと困ったことになる。
チャリを持っていくというのは、そう言うことなのである。
いまは楽しいこの道行きが、チャリを捨てさせられた途端どんなに重苦しいモノになってしまうか? それは考えたくもない事だった。




13:01 2号隧道遭着。

 全長15mほどの短い隧道で、洞内はほとんど崩壊もなく、良く乾いていた。
その他、1号隧道との違いは特に見られず、あっけなく一通過地点となった。

 なお、私がチャリに乗ることが出来たのは、この2号など一部隧道内の一部だけで、明かり区間は落ち葉や藪、落石、倒木多数のため、とても自走不可能であった。
チャリは終始お荷物といえたが、もちろん自分で決めたことだから責任は取らねばならない。




 隧道内部については何ら問題を感じなかったが、怖かったのは出口である。

 大分崩土が溜まっていて道は見えないし、空は見える。
そこは、深く切れ落ちていそうだった。
隧道を出た先でゴッソリ道が落ちているような展開を、(過去に経験があるだけに)恐れなければならなかった。


 セーフ!……


 良かった。

道はかなり細まってはいたが、直角に右に折れて崖伝いに続いていた。

 しかし、この時から私ははっきり自覚することになった。
道が沢から離れ始めたとき、私はこれでもう足を濡らす心配や、道を探して両岸を探す苦労から解放されると喜んだ。
だが、山腹の高いところに道が移ると、何かまた別の不安を感じたのだ。
それは、隧道が閉塞している事への懸念だと思っていたが、そればかりではなかった事を自覚。




 その正体とは、道がやがて細くなって、最後は崖に途絶えてしまうのではないかという不安だったのだ。
ひと言で言えば、転落への恐怖。

 そして、私の畏れる事態がいつ起こっても不思議ではないという険しさを、2号隧道後の山容は帯び始めていた。
廃林道とは決定的に違う、狭く見通しの無い道。
それはむしろ、低規格の森林軌道跡のようだった。
いつも以上に早く先を見たいと願ったのは、おそらく臆病風に吹かれたせいだ。





 こんなブラインドカーブを越えるたびに、えらく緊張した。


ここまで来てしまえば、なるようにしかならないわけだが…。





 見た?

気づいた??




 又キタ──!!

紛れもなく、それは3本目の隧道。

サラリと現れやがるぜ。
なんだ? 妙に軽やかじゃないか、今日は。
いつもなら隧道一本散々待たせやがるくせにな。




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 不安の実体化


13:06 3号隧道遭遇。

 2号隧道からさほど離れていない。3,4分ぶんの距離だ。
また、1号からこの3号までは300m以内に集中している。
(ただし右の地図の正確性は、GPS使用ではないので不安がある)




 そして、“第三関門も突破”である。

今回は、隧道が見えた時点で向こう側まで見透かせたので、ドキドキせずに済んだ(笑)。

だが、この隧道はちょっと綻び勝ちな感じがする。
全体的に風化が進んでいる印象であり、もともとの五角形はかなり失われ、洞床には歩くと舞い飛ぶほど乾いた砂塵の山が出来ていた。
閉塞に繋がるような大きな崩壊が急に起こりそうな、何となくそう言う気持ちの悪さを感じる3号隧道であった。


 …ともかく、3本目まで順調に攻略できた。




 3号隧道も2号隧道と良く似た立地で、でた先は直角右カーブであった。
そして私はまず、道がますます危うい傾斜を帯びていることを認めなければならなかった。

 隧道のあらわれるペースは順調だが、なんだかさほど稜線に近づけていると思えないのが気になる。
そもそも、稜線は地形図を見ても分かるが、ナイフエッジのように鋭い崖を両側に帯びている。
いったいこれをどうやって乗り越えるというのか。
今すぐぶつかりはしないだろうが、かといって地形図上からは楽に乗り込めそうな部分が見えてこない。

 切ヶ久保で“北壁”を攻略したのは長大桟橋だったが、また何かしらウルトラC級の業を見せるのだろうか。
チャリが無ければもっと気楽に、「お手並み拝見」でいられたのだろうが…。






 あッ!

 ああッ!!


 …逝った…カモ。


 これはやばいカモ。

 とうとう出ちゃったか……。






13:10 路幅10cm現場遭遇。


 歩いてなら行ける。

 それは断言できる。


しかし、チャリを小脇に抱えてここを通るのは…。


…それに…

 頑張ってここを越えても… その先も道無くないか?






 うーーーん…。

 …まず、歩きで行ってみるか。


チャリごと行って直ぐに引き返す羽目になったら、“命懸け”が泣く。

行ったり来たりは性じゃないが、ここは慎重に行かねばなるまい。




 チャリを置き身軽な状態で、片足の幅しかない“通路”を進んだ。


 大丈夫。さほど怖くはない。

  怖くはないんだが、ドキドキするぜ。。


 その先は流石に歩かれていないようで、枯れたツタが進路を塞いでいた。
私はそれを力任せに千切って、チャリが通行できるスペースを確保した。
まだこの後チャリをどうするかは決めていなかったが、身軽な状態で通行してみた感触としては、片手でも通行は出来そうだと思った。
(片手はチャリを、もう片手で崖を掴んで進むのである)


 とりあえず撤収しないで済むのなら、かなりのことは耐えられる気がする。





 特に荒れていたのは20mほどで、またもとの幅で道が戻ってきた。


 しかし、まだ安心は出来ない。
もう少し先も偵察してみよう。








 あ───…

 やばそう…


 なんか、ゴソッと落ちてる感じがする。

あの白さは、マズいよー…。





 ‥‥‥。





 すげー ぞくぞく する…