今までの山道が嘘のような直線道路!!
しかし、ここはまだ本線ではない。
この直線部は、晴れて三遠南信道が浜松方面へ延伸した際に、「水窪北インターチェンジ(仮称)」(資料でも「仮称」付きでこの命名がされている)のランプウェイ(取付道路)になる予定である。
これを「であった」と過去形にしなかったのにもワケがある。
前回私は、整備計画の変更によって、草木トンネルは三遠南信道ではなくなったということを書いたが、最近の計画(平成21年11月現在)を見ると、草木トンネルとその前後の既設区間(全長2.2km)のうち、起点側0.9kmについては引き続き活用する方針を示しているのである。
つまり、今見えているこの直線道路については、将来再びインターチェンジの一部となって、自専道へ戻される可能性がある!!
しかしともかく、現在ここは一般道路である。
だから、自転車でも文句なく立ち入る事が出来る。
平成20年から21年にかけて一般道化の工事が行われるまで、この入口にはちゃんと自専道を示す標識類があった。
一般道化により、外見で一番変化したのは、歩道が設置されたことである。
道路の右側に見えるグリーンのカラー舗装部分が歩道だ。
カラー舗装のみの歩道は手抜きのようにも見えるが、実際の利活用度を考えれば、無駄を抑えたというべきかも知れない。
自専道の標識が消え、代わりに歩道を整備した結果、この直線部(ランプ部)については、すでに外見的な“特殊性”は形を潜めてしまっているかに見える。
だがよく見れば、完全に“ハイクラス”の残り香が消えてしまったわけではない。
こんなの【カーソル!】とか、
こんなの【カーソル!】とかね〜。
これらの画像の補足説明→ 「国土交通省」のラベルが貼られた標識は、この道が国道の中で特に重要な箇所を国が指定して管理する「一般国道の指定区間」であることを示唆している(指定区間以外の国道は都道府県や政令市が管理している)。ちなみに、国道152号には指定区間が存在しないが、国道474号は開通している全区間が指定区間である。
また、橋の工事銘板にある「建設省」(国交省の前身)の文字は、この道路が国直轄事業として取り組まれたことを示している。
どちらにしても、この道が我が国の道路行政の中で“ハイクラス”な存在であることの(ないしはあったことの)証しといえる。
さらに…
自専道の名残もあった!
直線部の大半を占める「翁川橋」のネームプレートに、「52.8」kmのキロポスト。
どちらも、一般道では見る事の出来ない、緑系統の配色になっていた!
また、キロポストの方は、その数字自体も重要な資料である。
この距離は、明らかに国道152号の起点浜松からの数字ではない。
おそらくは、三遠南信道(国道474号)の起点である飯田山本インターチェンジからの距離と思われる。
まだ全体の2割も完成していない三遠南信道の完成像を意識させる、超未来指向のキロポスト… 熱い。
歩道がある側によって橋の下を見ると、国道152号が独り寂しくくねくねしはじめていた。
いろいろ“コクドーダー”(オブローダーみたいに酷道ファンを呼んでみました)が興奮しそうな標識類が見えている気がするが、今回は浮気はしない。
だから、カーソルオンで画像が拡大とかもしない。
今日は国道474号に専念するぞ!
今度は反対側の路肩によって、翁川橋の下にある翁川を見下ろす。
青崩峠を源流にもつ翁川の河川敷には、砂利採取場かと思えるくらいの膨大な量の砂利が堆積していた。
そういえば、さっきこのすぐ下流に砂防ダムがあったのを思い出した。
それにしても、これは尋常な量ではない。
青崩峠一帯がどれほど崩れやすい(=河川への土砂の供給量が多い)かを如実にあらわしている気がした。
見渡す限り、一台の車も走っていない直線道路を、自転車で独り占め。
まだ早朝だということもあるだろうが、本当に静かだ。
日本一閑散な自専道だったんじゃないかと、そう思えるくらい。
そして、長い直線の半ばまで来ると、ようやく、その先の道がどうなっているのか徐々に見え始めた。
…橋脚が何本かある…。
橋桁の乗っかっていない橋脚が……。
未成道の臭いがしてきた。
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6:19 《現在地》
入口(国道152号分岐)からちょうど400mの地点。
翁川を斜めに横断して右岸へ着いた。
そして、青看&変なオブジェ が出現。
その先もまだしばらく直線が続くが、勾配は緩やかになっているのが分かる(ここまでは勾配が9%もあり、自転車にはきつかった)。
裸の橋脚たちはさらにその先だ。
青看をズームアップ。
飯田までは65kmと表示されている。
これが、三遠南信道の全線開通によって、キロポストが言うような52kmほどになるなら、ものすごい短縮である。
(青崩峠区間が完成すれば、現在のヒョー越経由より一気に7km近くも短縮される予定だから、十分実現可能な線だろう)
そして道路外の枯れ草の原野に立ち尽くす、そうでなくても何となく近寄り難いムードを醸している、“謎オブジェ”。
オブジェのオブは、オブローディングのオブですか?
というのは冗談だが、この物体を私は既に一度見ているぞ。
…皆さんも見ているぞ。
水窪の“南口”と“北口”にそれぞれ立つこのオブジェ。
現代版道祖神といったところか。
おそらく旧水窪町時代に、役場が凝って作らせたものだろうが、北口については道が本来の役割を果すに至らぬまま、先に町が消滅してしまった。
そう考えると何となく哀れだし、草木トンネルの運命を象徴する存在のようにも思えてくる。
というのは、無理矢理かな…?
いずれ、もし浜松市が引き継いで管理しているなら、せめて周囲の草刈りを…。
橋から地上部に移ると、道幅が広くなった。
というか、両側に路肩以上の余地が出来たというべきか。
こうした空きスペースの一つ一つに、何か理由があるのだろう。
例えば、ここはインターチェンジだから、料金所を設ける余地が用意されていて然るべきだろう。
将来、三遠南信道の各区間の通行料金がどうなるかは未定である。(現時点の開通区間は全て無料だが…)
通り過ぎてきた道を振り返ると、周囲の法面とは異なる感じに造成された一角が、いやに目立つ。
後ほどより説得力のある写真をお見せ出来ると思うが、計画ではこの法面の上部に本線が乗っかるはずである。
流石に、まだ工事がはじめられている様子はない。
というのも、この水窪北ICの南側に接続する水窪佐久間道路はまだ計画の段階であり、既に事業化している青崩峠道路よりは、完成が後になる見込みである。
だから、やがて青崩峠道路が完成したとしても、その段階ではまだ、このアングルには大きな変化は無いだろう。
ここに新たな高架橋が建つのは、当分先のことと思われる。
高速道路らしく、ゆるーやかに右へ曲がりながら、再び9%の勾配区間が始まる。
この急勾配もランプウェイならではのものである。
そして、遂にきた。
門型橋脚キタ―!
ここで上下線は分離され、橋脚の列を間に挟み込みつつ、本線の高さへと上り詰めていくことになる。
この線形からも分かるとおり、水窪北ICはハーフICになる予定だ。
門型橋脚は、上り線(終点→起点が上り線)を跨ぐ位置に架かっている。
設計上、この橋脚は4車線の本線を支えるものであるだけに、
近付いてみると思った以上に巨大で、肉厚で、迫力があった。
興奮した。
門型橋脚を振り返る。
水窪佐久間道路が建設された暁には、橋脚の前後が高架下道路になるわけだ。
なお、この上り線ランプウェイは地上にあるが、左の下り線ランプウェイは分岐地点から本線合流地点まで、全て高架構造になっている。
橋の名前を「池島ランプ橋」というようだ。
これは、片勾配の山腹を横切るように路線が設置された為に出来た変速的な構造である。
上下線の間の広い空間には、3本の橋脚がおそらく等間隔に建ち並んでいた。
これらも先ほどの門型橋脚と同じく、将来は4車線分の本線高架橋を支える役目を持っている。
いつになったら活用されるのか、現時点では全く分からない構造物であり、しかも、完成からはそれなりに時間を経過していることが、表面の水汚れなどから見て取れた。
このまま未成の遺構に終わる可能性もあるわけで、大きな図体をしてはいるが、寂しげに見えたのも無理はない。
だが、それでもここにある“2.2km”の中では、まだ恵まれている方かも知れない。
少なくとも、希望は続いている。
手前が本線用の橋脚、奥が池島ランプ橋、そして谷底に小さく見えているのが、先ほど別れた国道152号である。
いつの間にか、こんなに高低差がついていたとは!
さあ、来たぞ! もう間もなく、本線に合流する!
ほんの数年前まで、自転車が絶対に許されなかった高速道路の本線だ!!
ドキドキしまくり!
本線出現!
こいつは、うろちょろし甲斐がありそうだ…。