千葉県にもかつて森林鉄道が存在したことを解き明かした「元清澄山の森林鉄道跡」こと小坪井林用軌道に関する第4次探索を、平成30(2018)年3月7日に行った。
これまでの3度の探索と同じく、丸一日を使った長い探索になったが、本編はその一部である“ヅウタ隧道再訪探索”を紹介する。
まずは、耳慣れないだろう“ヅウタ隧道”という名について説明する。
これは私が与えた仮称である。正式名不明のため(永遠に解明できない可能性が高い)区別の必要から付けた。ヅウタは隧道北口付近の小地名からの引用である。
今回再訪探索を行った「ヅウタ隧道」(仮称)の
2013年1月の姿(第1次探索時に撮影)。
ヅウタ隧道は、このシリーズの第5回(2013年の第1次探索)に初めて登場し、そこで現地調査と古老からの聞き取り調査の模様を紹介している。このレポートを読む前に(第5回だけでも)再読されることをオススメしたい。
今思えばこの隧道は、第3次探索の主役となった“田代線”との最初の遭遇であったわけだが、それはさておき、発見された南側坑口は大部分が笹川湖の水面下にあったため、対岸から見る以上に接近することができなかった。
また、同じ日に北側坑口へも挑戦した(第5回後半)が、笹川湖を取り囲む険しい崖に阻まれ、北側坑口の位置を特定できずに終わっている。
ヅウタ隧道は小坪井軌道田代線の頸部をなす重要な位置にあり、小坪井軌道の全隧道中最長の250m前後という推定延長を誇る、本軌道を代表する遺構である。
しかし笹川湖が絶妙に邪魔をしていて、存在を感知しながら思うように探索のできない、とてももどかしい存在であった。
ところで、この探索を含む第4次探索を実施するきっかけは、新たな情報の提供があったことだ。
その情報提供者というのは、以前にこちらの情報を提供して下さった、やセイジン氏に他ならない。
以下、2018年3月5日にいただいたメールを抜粋して一部紹介する。
6月にトークショーが東京で開かれるというのを見て、必死にダム湖に沈んだ隧道が写っている写真を探しました。当日持っていったのですが、なんとSOLDOUTになっていることを知らなくて、渡せず失意のままもどってしまいました。
(中略)
昨年の12月から現在まで、「山行が」のレポートを読んで、毎週のように、元清澄山近辺を探索しました。以下にその成果を報告します。
(中略) ……成果が列記されており、第4次探索で確認できたものもあるので、いずれ紹介したい
水量が少なかったときに、間近で(ヅウタ隧道の)南口坑口を見ることができました。水が奥に入っていくのが確認されました。
(中略)
また、(ヅウタ隧道の)北口をめざして、湖面沿いはレポートで行けないことがわかっていたので、山から行ってみました。
(中略)
そうしたら、上だけ20cmくらい開いている北口坑口と思われる穴を見つけました。/div>
南口から水が流れ込んでるって、マジかよ?!
流れ込んだ水はいったいどこへ?! 隧道は今なお貫通しているということ?!
実は、ダムの水位が下がるとヅウタ隧道の南口から水が流入する様子が見られるという情報は、2018年1月にマンボウ氏からもいただいており、再訪の必要を感じていた。
さらに、北口坑口と思われる穴の発見だと?!
メールをいただいてから、私が現地で探索を開始するまで、たった48時間!(笑)