(1)笹川湖畔公園(笹衛士)から表示されている登山口を登っていくと分岐にでます。
2018/3/7 14:32 《現在地》
スタートは、「笹川湖畔公園(笹衛士)」という看板がある公共駐車場だ。
ここは田代川方面へ行くため、何度も行き来した市道の路上だが、車を駐めたのは今回が初めてだった。
なるほど、情報にあった通り、駐車場の向かい側には、「笹川湖ふれあいコース」というネーミングがなされたハイキングコースの入口があった。
「ヤマビルにご注意ください」の看板に少しばかり意気を削がれたが、見た目も空気も寒々しい3月の森を信じて入山する。
なお、今回は自転車は役立ちそうにないので、最初から歩きだ。
道は黒いフェンスに沿って、緩やかに尾根を目指して登っていく。
フェンスも道もまだ新しそうだ。駐車場に停まっている車も私の他になかった。
この先、再び軌道跡の擬定地へ辿り着くまでは、基本的に林鉄の遺構が出現する可能性がないので、テンポ良く進む。
出発から5分ほどで稜線上に達し、進行方向が東へ向いた。
ここの路傍の岩の窪みに、まるで隠しキャラのように目立たないアシュラマンが収まっていた。
取って付けた感じがないので、どうやらここまでの道はハイキングコースとして整備される遙か以前から、手軽な峠越えとして利用されていたようである。
(2)そこ(分岐)を展望台方面と反対の方向へ進んでいきます。この道は整備しようとして挫折してしまったハイキングコースです。
14:38 《現在地》
稜線に出るとまもなく十字路型の分岐があり、左折は展望広場へ、直進は登ってきたのとは反対に稜線を下ってヅウタ親水公園へ抜ける。
入口からここまで約300mで、標高は40〜50m登った。
進むべきは右折だ。とにかくフェンスに沿って尾根から下らずに行けば間違いない。
なお、私が進もうとしている道に対しては、右写真のような注意書きがフェンスに取り付けられていた。
200m先で行き止まりであるという。そのうえ、道幅が狭く、急傾斜で、ヤマビルにご注意とまで言われたら、ハイキング目的の人はここで引き返しそうである。
情報提供者曰く、「整備しようとして挫折してしまったハイキングコース
」とのこと。未成遊歩道というわけか、面白い。
スタートからここまで、片時も離れず歩道の右に黒いフェンスが続いている。
これは、衛星管制センターの敷地を取り囲むものだ。
様々な施設がある中心エリアから300mほど離れた外周にこの道があり、フェンスの向こうを覗いてもただの山や谷にしか見えないが、チェンジ後の画像のような謎のホースが空中に伸びていたりして、さすがは宇宙関連施設だ。得体が知れない“エリア51”風味がある。
道は尾根を行く。
右側はフェンスに塞がれているが、左側は解放的だ。
樹木越しではあるが見晴らしもあり、眼下の笹川ダム湖から、ダムを越えて遠くの房総丘陵の起伏まで見渡せる。
このダム湖には、今回探索している隧道の他にも林鉄の隧道が沈んでいることが判明している。(過去の回で取り上げている)
おひょー!
ハイキングコースにしては少しばかり骨の折れる起伏が、この稜線にはある。
木の階段が付けられているが、さすがに急すぎると思ったのか、鎖が補助として垂れていた。
いっぱしの鎖場である。登り切った先は、げんこつのような露岩が天を突いている。
てっぺんの岩場は右のフェンス沿いを巻いて越えるのだが、ここはなんというか雑だ。
フェンスと岩場の隙間をすり抜ける感じで歩くよりなく、全く路面がないので、
予告された200mを待たずに道が消失したのかと思ったくらいだ。
だが、岩の小ピークを巻くと、再び道は忽然と現れた。しかも、また登る。
フェンスに沿って、グネグネと、向こうのてっぺんまで、木の階段が続いている。
この忙しい尾根から離れない階段は、まるで万里の長城のミニチュアみたいだった。
ここはちゃんと作られているが、どうせ行き止まりなんだと思うと、虚しい気がする階段だ。
遊歩道の未成道とか、これまであまり意識したことがないが、実際は日本中にあるんだろうなぁ。
皆さんが知っているそんな道があったら、どんな小さな道でも良いので、ぜひ教えて欲しい。
14:50 《現在地》
出発地点から約500m(分岐から200m)で、ピークらしいピークに達した。
地形図から読み取れる海抜220m(スタート地点より80m高い)のピークだろう。
今回歩く一連の尾根越えアプローチルート上の(おそらく)最高地点である。
ピークには、国有林の林班界を示す「山」の文字が入った境界杭と、
片倉ダムと書かれた三級水準点の標石が埋め込まれていた。
(3)ずっと進んで、衛星管制センターのフェンスがなくなって最初のピークを越えて下っていくとすぐに木が切られたところがあります。
今はまだ(↑)この行程の途中にいる。最初はトントン拍子だったが、この行程が長い。
とりあえずは、「フェンスがなくなる」までは、迷わず進み続けて良いようだ。
実際、GPSで確認しても、まだまだヅウタ隧道より西側にいる。
ピークを越えて、さらに稜線伝いに東進する。
初っ端、登ってきたのと同じくらいの急な木製階段で、眼下の鞍部へ落ちていく。
傍らの立ち木に、「立入禁止 三井物産」と書かれた目立つ看板が掲げられていたが、これは道に対してなのか、道の左側のダム湖側山林に対してなのか、分からない。
いずれにしても、【予告された】200mを越えてもまだ、遊歩道らしき整備を受けた道が続いていた。
一度下ったが、すぐさま次の登りが始まった。
馬の背のような細い尾根に、その幅いっぱいの木の階段があるのは、なんだかシュールだ。登山道向きの斜面に、無理矢理ハイキングの階段を移植したような違和感がある。
そして、歩幅を自分で調整できない階段のせいで、なかなか足にクル道である。既に今日はいろいろと探索して疲れた足だったので、キツかった。
……この後、湖畔までおそらく道なき道を下って、終わってからまた来た道を全て戻るというのは、避けがたいこととはいえ、結構ハードだぞこれ…。
14:59 《現在地》
入口から約700m、2つ目のピークに立った。海抜は約210mだ。
分岐から400mのこの場所で、ついに、
整備された歩道が途絶えた。
「これより先、未整備につき 立入禁止 君津市」
この看板で締め括られた唐突な終わり方は、確かに未成道っぽい。
終点のピークに東屋の一つでもあれば見栄えを繕えたかも知れないが、
それどころかベンチの一つも、案内板さえなく、歩道は消えてしまった。
だが、私の目的地は、まだ先だ。
おおっ! フェンスが切れた!!
(3)ずっと進んで、衛星管制センターのフェンスがなくなって最初のピークを越えて下っていくとすぐに木が切られたところがあります。
写真は振り返って撮影した。
右奥に、前記した「立入禁止」の看板の青い裏面が見えている。
この感じだと、フェンスとセットで遊歩道をここまで整備したが、どういうわけか道が力尽きて、フェンスもそれ以上は(人が通らないなら必要がないと)作らなかったのかも知れない。
なお、ちょうどこの辺りが、隧道南口の真上だ。
そこと結ばれる北口の位置はまだ分からないものの、概ね足元の80m下の地中に、水を呑み続けるあの穴がアップアップしていると考えられる。
想像するだけで、ゾクゾクするぜぇ……。
道もなく、フェンスもなく、ここからは天然度100%の尾根歩きだ。
とはいえ、房総の山らしく下草が皆無なので、見通しが良く歩きやすい。
ところどころ、侵食に強く抵抗する基盤岩が露出した岩尾根になっているのも、変化があって楽しい。
尾根は下り基調であり、小まめにGPSで現在地を確かめることで、枝尾根へ誤って入らないよう気をつけた。
情報によれば、この次のピークを越えるとすぐに木を伐られたところがあるそうだが…。
うん、ここは微妙にピークっぽいか。
地形図だとはっきり判別出来ない程度の起伏だが、岩尾根の一画が前後よりは少し高くなっている。
チェンジ後の画像は、北側の谷底を覗いている。
こちら側も、湖面まで80mほどの落差があり、南斜面ほどではないが急傾斜であることが見て取れる。
入り組んだ谷筋に湖面も入り込んでいるはずだが、樹木に隠され全く見えない。(遠くに白く見える一画は湖面ではなく、2013年の探索時に未成のゴルフ場建設予定地があった荒野に、その後開設されたソーラーパネル群だ)
情報提供者が坑口らしき穴を発見した場所も、この足元の谷のどこかである。
ただ、闇雲に谷へ下ってしまうと、せっかくの助けを無駄にしかねないので、ここは慎重に、教えられたとおりの道を辿りたい。
おおおっ! ピークの直後、少し木が伐られている!!
尾根の南側が人工林になっているせいだ。
遊歩道は絶えても、この尾根には人が通った気配が濃厚である。
(3)ずっと進んで、衛星管制センターのフェンスがなくなって最初のピークを越えて下っていくとすぐに木が切られたところがあります。
(4)そこからではなく、2つめの木が切られているところから北方向に降りていきました。
……ということらしいので、この尾根をさらに東進するぞ……。
なんか、マジで宝の地図を読みながら進んでいるみたいで楽しいなこれ。情報をいただいた時は、単純に「ココ」って地図上で指定してくれたら楽なのになんて身勝手に思ったんだけど、ゴメンナサイだ。とても楽しい、この先行者のトレース。
15:12 《現在地》
おおおーーー!!! あった!
“2つめの木が伐られているところ”!
お椀を伏せたようなピークはスギの林に囲まれていて、てっぺんの部分だけ綺麗に伐採されていた。
地形図でも分かる通り、ここからは北に枝の尾根が出ていて、いわゆるジャンクションピークとなっている。
地形図を見ると、この一つ先のピークも同じように北へ枝尾根を出しているが、ここは情報提供者と私のシンクロを信じて、このピークから北の尾根を下降しようと思う。
情報提供メールを読んだ時点では、北口の所在地にはいくつもの候補地があったが、ここまで来て、いよいよ北口の在処は、たった一つの狭い谷に絞られることになった。
……もちろん、私の解釈が正しければだが……。
これより下降し、確かめるぞ!